東武不動産東武不動産東武グループの総合不動産会社

東武鉄道株式会社

空き家を更地化。再び「暮らしの場」へ。
東武の歴史と想いを紡ぐ「PCF」平屋建売住宅事業

リイカス事業部

東武不動産は、空き家や旧分譲団地の再生を通じて、新たな暮らしの場と地域の活性化を支えるリイカス事業を展開しています
老朽化した不動産をそのまま買い取り、建物の解体やリノベーション・測量等の商品化から販売までを一貫して担うことで、売却を検討する高齢者や相続人の負担を軽減。
また、これまで東武グループが手がけてきた住宅地に再び息吹をもたらし、次の世代へと住まいをつなぐ「PCF」平屋建売住宅事業もスタートしています。

空き家問題に向き合う「リイカス事業」の使命

団塊の世代が75歳を迎える2025年。今後の10年間で、日本の空き家問題はより深刻化すると予測されています。特に旧来の分譲団地や郊外型住宅地では、住人の高齢化に伴い、解体や測量、境界確定、残置物の処分といった煩雑な手続きを理由に、物件が放置されてしまうケースが少なくありません。
孤独死や火災、不法投棄といったリスクも抱えており、地域社会にとっても大きな課題となっています。

一方で、「売却して介護資金に充てたい」といった前向きなニーズも確実に増えています。
こうした時代の要請に応えるかたちで立ち上げたのが、リイカス事業です。
不動産を現状のまま買い取り、建物の更地化やリノベーション、再販売までを一貫して行う、再生型の事業モデルであることが特徴です。
売却相談から再生までを一貫して引き受けることで、スムーズな住み替えと地域の再活性化を両立することを目指しています

現在、不動産の状態やエリアの特性に応じて、主に4つの再生パターンを展開しています。
ひとつは建物を解体し、更地として販売する方法。
次に、中古の戸建住宅を買い取り、リフォームを施したうえで再販するケース。
さらに、中古マンションのリノベーション販売。
そして近年は、平屋の建売住宅を新築する取り組みにも注力しています。

旧団地を活用。東武だからできる事業展開、平屋住宅ブランド「ヴィラリエ」

ホビーステージプラン(売却済み)

東武グループがかつて手がけた旧東武団地。
1980年代に分譲されたこれらの団地では、現在の居住者が70〜80代となり、「居住者の高齢化」「建物の高齢化」「街の機能の高齢化」という「3つの高齢化」に直面し、空き家も散見されるようになっています。
住宅団地の再生を目指して、空き家を買取り、時代のニーズに合致した新たな住宅を建設し販売する「PCF」平屋建売住宅事業を2024年10月にスタートしました

団地再生を目指し、同事業が提案する平屋建売住宅のコンセプトは「プレミアム(P)・コンパクト(C)・フラット(F)」。リビングを吹き抜けにし、最大4.7mの「プレミアム」な天井高を確保。
20〜24坪という限られた床面積のなかで廊下を省き、空間を効率的に使った「コンパクト」な設計。
さらに平屋ならではの「フラット」な構造が、子育て世代から高齢者まで、幅広い層にゆとりと快適さをもたらします。

PCFのコンセプトに基づく住宅ブランド「ヴィラリエ」は、上質な低層住宅を意味する「Villa(ヴィラ)」と「家(ie)」を組み合わせた造語です。
これまでに3棟が公開され、うち「ホビーステージプラン」はすでに売却済みです。

リビング
バスコートプラン
左:リビング(最大4.7mの高天井) 右:バスコート

千葉県野田岩名市に位置する「バスコートプラン」の特徴は、明るい南面に3部屋をレイアウトし、陽当たりの良さを最大限に活かした設計です。
最大4.7mの高さとなる天井には天窓とファンが設置されており、光と風の通り道をつくることで、リゾートのような快適な空間が生まれています。建物名にある「バスコート」は、浴室脇から屋外につながるスペースのこと。ウッド調デッキとタイルで仕上げたその場所は、風呂上がりのひとときを楽しむくつろぎの空間としても機能します。

ヴィラリエを推進する私どもが大切にしていることは、「住宅は間取りやスペックだけでなく、考え方や生き方を提案するもの」という視点。
PCFの発想に基づいて設計されたヴィラリエは、室内の間仕切りを最小限に抑え、すべての空間がバリアフリーでつながる構造となっています。上下階の移動が不要な平屋構造は、移動しやすく掃除のしやすさにも優れ、家事・育児・介護にかかる負担も軽減。
時間と労力を節約できる住まいは、趣味や家族とのふれあい、自分自身のリフレッシュタイムを生み出し、暮らしに余白をもたらしてくれます

想いを受け止め、次世代へとつなぐ

電鉄系の不動産会社が平屋住宅を手がける事例は少なく、東武不動産がこの取り組みを実現できたのは、かつて手がけた旧分譲団地とのつながりがあってこそです。その土地の歴史を尊重しながら新しい価値を生み出すため、地域との関係づくりにも丁寧に取り組んできました。
工事前には近隣住宅を一軒ずつ訪ね、名刺を手渡してご挨拶し、「何かあればいつでも相談してください」と声をかける。そうした、住民一人ひとりとの誠実な関わりが、地域に受け入れられる礎となっています。

また、「住む人」だけでなく、「手放す人」の想いにも丁寧に向き合っています。たとえば別の案件では、解体予定の住宅を写真に収め、そこに刻まれた思い出を一冊のアルバムにまとめてご家族に贈ったところ、長年の暮らしの記憶を大切に残せたことに深い感謝の言葉をいただきました。
単に「不動産を引き継ぐ」のではなく「想いを受け継ぐ」ことができ、担当者にとっても忘れらない経験になりました。

思い出のご自宅を写真に残し、売主様へプレゼント

地域と人に寄り添う暮らしのあり方へ

同事業が目指すのは、老朽化した建物を解体して終わりではなく、地域の空き家課題に向き合いながら、次の暮らしへとつなぐ再生のサイクルを生み出すことです。

その実現には、地元住民や自治体、地域企業との連携も欠かせません。今後は一戸単位の対応にとどまらず、近隣の関係団体との協力体制を築きながら、空き家の点在する地域を含め、街全体を少しずつ再設計していく「機能更新」の取り組みを重ねることで、持続可能な地域のかたちを支えていきたいと考えています。

※2025年6月末時点の情報です。

東武不動産のリイカス事業