東武不動産のプロパティ・マネジメント事業(住宅賃貸管理)は、東武沿線エリアを中心に、一都三県で住宅賃貸物件の管理・運営を手がけています。2025年3月末時点で、東武鉄道が所有する物件721戸、一般オーナーからお預かりする物件455戸、自社で保有する物件69戸の合計1,245戸を管理しています。
業務の中心にあるのは、プロパティ・マネジメント(PM)。
これはオーナーに代わり、建物の価値を維持し、さらには向上させるための専門的な運営・管理を行うものです。
オーナー、居住者、そして管理会社である東武不動産の「三方良し」を目指し、時代ごとに変化する社会や暮らしのニーズを敏感に捉え、柔軟に対応し続けています。
快適で安全な暮らしを維持する仕事
自社の「第一業平マンション」は、同部署の仕事を象徴する物件のひとつ。
鉄筋コンクリート造7階建てで、2LDK〜3LDKの間取りの21戸を運営しています。
押上駅から徒歩3分という利便性の高い立地にありかつ、建物内外ともに清掃が行き届き、共用部には美しく整えられた植栽が彩りを添えています。
1999年12月の竣工から25年ほど経過していますが、定期的なメンテナンスやリノベーションを重ねることで、常に入居者にとっての快適さと安全性を確保してきました。
(第一業平マンション)
2025年3月末時点でも満室稼働しており、住みやすさを高める改修や設備更新が着実に積み重ねています。
共用スペースの美観を保つ取り組みや、入居者の生活動線への配慮は、管理する物件で必ず意識しているポイントです。
時代に即した提案でニーズに応える
入居者が退去するタイミングで新たな業務のサイクルが始まります。
退去時には現地を訪れ、室内の汚損や設備の状態を細かくチェック。その後、協力会社の専門スタッフと連携して原状回復工事の見積もってもらい、必要な修繕や付加価値の内容を検討します。
重要なのは、単に「元に戻す」だけでなく、時代のニーズや入居者目線を常に意識すること。
新たに宅配ボックスを設置したり間取りを見直したりと、価値を上げるための工夫も必要です。
たとえば、築年数を経たマンションで複数部屋が同時に空室となった際には、そのままクリーニングしても相場よりも低い賃料となり、募集に苦戦することが予想されました。
そこで、複数部屋を同時にリノベーションすることをオーナーに提案し、住みやすさを高める工夫を盛り込むことで、空室期間を短縮し、賃料水準を相場に近づけることに成功した例もあります。
日々のトラブルにはチームで対応
入居後のサポートこそ、私どもの真価が問われる場面です。
住宅は24時間365日人が住む場所だからこそ、業務用ビルや工場のように「止める」ことはできません。エアコンや給湯器の故障、設備の不具合、さらには「足音が気になる」「水漏れが発生した」など生活に密着したトラブルまで、入居者からのさまざまな相談に迅速かつ丁寧に対応しています。
大きな特徴は、こうした現場対応の大変さを一人で抱え込まないこと。
新入社員や転属直後のメンバーには経験豊富な先輩社員がペアとなり、現場への同行や二人三脚での業務を通じて知識やスキルを伝授します。
ベテラン社員であれば一人で現場対応ができる場面も多くありますが、「あえて新人や後輩と一緒に現場へ行く」ことで、今後を担う人材を育成し、担当者が交代してもスムーズに業務を引き継げるよう、現場の知見やノウハウを共有する文化が根付いています。
多岐にわたる業務をチーム全体で受け止める体制があるため、現場での成長とメンタルのケアが両立できるのです。
暮らしの想像力を磨き、成長を実感する
日々の現場では、ただルーティンをこなすだけでなく、自分自身の提案や判断が仕事の成果に直結する場面もあります。
たとえば、品質向上のための高額なリノベーション工事で自らの提案が採用され、計画どおりに物件が稼働したときの達成感はひとしおです。「あなたの提案が決め手になった」とオーナーや入居者から感謝の声をいただくことは、この仕事ならではのやりがいを感じられる場面。設備の選定や仕様改善など、日々の判断ひとつひとつが、物件の価値や入居者の満足にダイレクトに反映されていくのです。
人の生活の基盤になる住宅だからこそ、社会環境や入居者ニーズの変化を捉える必要があり、もし時代にそぐわない物件であればミスマッチが続いてしまいます。「ここに住むのはどんな人か?」「家族がいたらどうか?」など多角的な視点を持ち、館内規則の改訂やリノベーションなどを積極的に提案していきます。
暮らしを支える事業として―変化を続けて未来につなぐ
東武鉄道の物件や個人オーナー物件だけでなく、自社で物件を取得し、運営・収益化を目指す取り組みも進んでいます。
自社物件には直接オーナーとして関与するため、管理・運営の自由度と責任が格段に高くなります。満室稼働を維持するための改修やリノベーションなど、積極的な投資判断と現場対応力の両立が求められ、これまで培ってきた知識と経験が一層問われる分野です。調達から管理運営まで、難易度も高くやりがいのある領域へと、培った経験をもとに取り組んでいます。
今後も、都市の暮らしを足元から支え、変化の時代をリードしていく存在でありたいと考えています。
※2025年3月末時点の情報です。
東武不動産のビル賃貸事業