パーキング事業は、コインパーキングや月極駐車場の運営・管理を通じて都市インフラの一端を担っています。 一都三県を中心にネットワークを構築しており、2025年9月末現在の数は、駐車場約570カ所、駐輪場約260カ所と、合計830カ所以上 にのぼります。 鉄道会社を母体とする企業グループとして、東武沿線を基盤としながらも、近年では沿線外のエリアにも積極的に事業を拡大しています。
提供するサービスは、時間貸駐車場、月極駐車場、施設併設型駐車場、機械式駐輪場、有人管理駐輪場の5種類 。 お客様から寄せられるご相談に対して、立地や環境に応じた柔軟な活用プランを提案しています。
また、土地を活用したいオーナーには、利用者の募集から契約・解約手続き、料金収受、清掃・補修対応に至るまで一括での代行が可能。 駐車場・駐輪場の管理にかかる手間を軽減し、効率的な運営をサポートしています。
商業施設連携による新たな価値創出(TOBU PARK幕張海浜公園高架下駐車場)
東武不動産は、東京スカイツリータウン駐車場をはじめとした商業施設の駐車場管理で、豊富な実績を有しています。 地域に開かれた商業地ならではのニーズに応える柔軟な提案力と、安定した運営体制が評価されてきました。
(東京スカイツリータウン駐車場)
JR京葉線 海浜幕張駅直結の商業施設「ペリエ海浜幕張」隣接の高架下に開設された「TOBU PARK 幕張海浜公園高架下駐車場 」も、そうした実績と対応力が発揮された事例です。 幕張メッセやZOZOマリンスタジアム、三井アウトレットパークやイオンモール幕張新都心など集客力の高い施設が集まる立地のため、時間貸し駐車場としての基本機能に加え、周辺の人流やイベント開催に対応する運営設計が求められました。
(TOBU PARK幕張海浜公園高架下駐車場)
この場所は以前、別会社が月極駐車場として運営していましたが、東武不動産では現地調査とヒアリングを重ね、クライアントの要望もふまえて、バイク駐輪スペースを含む多面的な活用プランを提案し採択に至りました。ポイントとなったのは、その土地に最適な「技術の選定」と「提案の柔軟性」です。
たとえば、駐車スペースにはフラップ板を用いず、地面に埋設した電線(ループコイル)で車両の金属部分を検出し、車室後方に設置のコントロールボックスにて課金等の入出庫管理を行う方式を採用 。 運転スキルもさまざまな利用者が訪れる商業地だからこそ、フラップ板との接触リスクを避けた、利便性と安全性、またイニシャル及びランニングコストの観点からも適した選択をしました。他にも、利用者の動線を意識したレイアウトや設備配置によって、安心して利用できる空間づくりが実現されています。近年ではカメラ認証による車両検知技術なども登場していますが、「最新設備だから使う」のではなく、「その場所にとって最も合理的かどうか」を基準に選び抜く判断力が、現場の信頼につながっています 。
クライアントの要望を起点に事業部からの逆提案で空間の価値を引き出したこの取り組みは、「商業機能と一体化したパーキング 」として、東武不動産の柔軟性と総合提案力を象徴する事例となっています。
郊外の小規模用地をコインパーキングに転用(TOBU PARK落合住宅駐車場)
東京都多摩市の住宅地に位置する「TOBU PARK落合住宅駐車場 」は、1975年に建設された集合住宅「多摩ニュータウン落合」の敷地内に設けられた、比較的小規模なコインパーキングです。もともと住民専用の月極駐車場だった区画の一部を活用する形で、東京都住宅供給公社(JKK東京)が実施した8カ所一括の発注において、東武不動産が運営を受託しました。
団地に隣接する駐車場として、視認性や使いやすさを確保するため、車室ラインは月極区画と異なる色で引き直し、誤認を防止する施策を実施。看板の配置や文言にもこだわり、駐車エリアと精算機の間に利用方法の看板を掲示することで、適切なスペースを確保し、精算機との接触リスクを軽減しています。こうした工夫によって、安全でストレスのない利用環境が整えられています。
オープン当初には周辺住民に向けて「誰でも使えるコインパーキングである」ことを伝える手作りのPOPを掲示し、ポスティングやオンラインマップへの登録など地道な努力を継続しました。こうした丁寧な情報発信が、地域での認知向上と利用促進につながっています 。
(TOBU PARK落合住宅駐車場 )
駅から徒歩18分という立地条件においても、団地の来客者や近隣住民にとっては必要不可欠な場であり、利便性の高いサービスとして機能しています。オープン後には「ここに駐車場ができて助かった」といった声も寄せられ、地域との接点づくりとしての手応えを感じさせる結果となりました。
こうした身近なインフラを運営するうえでは、収益性だけでなく「この場所にあってよかった」と思ってもらえる体験の提供が欠かせません。利用者にとっての安全性・快適性を第一に考えつつ、オーナーの意向を踏まえて最適な提案を行う。そのバランス感覚こそが、パーキング事業に求められる重要な資質のひとつです。
街を歩き、現場に向き合うことから始まる面白さ
パーキング事業の現場には、ひとつとして同じ場所はありません。 周辺の人の流れ、土地の高低差、通りからの視認性、近隣施設との関係性、そうした情報を丁寧に読み解きながら、最適な設計や賃料を組み立てていく作業は、まさに「街を見る目 」を鍛えるプロセスそのものです。
ある場所で得た知見が、次の案件の判断材料になることも少なくありません。そして何より、担当者として継続的にそのエリアを訪れる中で、土地勘とともに人とのつながりも育っていきます。
人を介して情報が集まり、地域との接点が少しずつ増えていく。そうしたネットワークの積み重ねによって、自分の得意な地域が広がっていく感覚も、パーキング事業ならではの魅力と言えるでしょう。
街と人の動きを読み取り、その土地に合ったかたちで価値を提供していく 。 現場に向き合い続ける姿勢で、東武不動産のパーキング事業本部はこれからも地域とともに価値ある空間を作り続けます。
※2025年9月末時点の情報です。
東武不動産のパーキング事業